ホームページをリニューアルしても成果が出ない理由|デザイン以外に必要な5つの視点
はじめに
「ホームページをリニューアルしたのに、問い合わせが増えなかった」
これは、私たちがよく伺うお話です。新しいデザインにしたのだから成果が出るはず——そう思っていたのに、実際にはアクセス数も問い合わせ数も変わらない。あるいは、リニューアル前より減ってしまった。
こうしたケースに共通しているのは、「デザインを新しくすること」がリニューアルの目的になってしまっていることです。
今回は、1,000サイト以上の制作に携わってきた経験から、デザイン変更だけでは成果が出ない理由と、リニューアルで本当に押さえるべき5つのポイントをお伝えします。
連載「ホームページリニューアルを考える前に読む全10回」 第3回
前回:第2回「ホームページを5年放置するとどうなる?」
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なぜ「デザインを変えれば成果が出る」と思ってしまうのか
ホームページの印象を大きく左右するのは、確かにデザインです。古いデザインを新しくすれば、第一印象や読みやすさが改善する場合があります。
しかし、デザインは、信頼感や情報の伝わりやすさを左右する重要な要素ですが、目的や情報設計、導線が整理されていなければ、デザインだけを新しくしても成果にはつながりません。
リニューアルで本当に検討すべきなのは、以下の5つの要素です。
ポイント1:リニューアルの目的を明確にする
「デザインが古くなったから新しくしたい」——これだけではリニューアルの目的として不十分です。
「なぜデザインを新しくしたいのか」を掘り下げると、本来の目的が見えてきます。たとえば、
- 問い合わせを増やしたい
- 採用応募を増やしたい
- 自社の技術力や強みを正しく伝えたい
- 競合他社と差別化したい
目的によってデザインの方向性も、サイト構成も、求める成果指標も変わります。
目的が曖昧なままリニューアルを進めると、社内の意見がまとまらず、制作会社との認識もズレたまま完成。結果として「見た目はきれいになったけれど、何が変わったのかわからない」という状態になりかねません。
確認のポイント: リニューアルの目的を「○○を△△するために」という具体的な文章にしてみてください。社内の関係者全員が同じ方向を向けるかどうかが、最初の分かれ道です。
ポイント2:訪問者の視点で情報を設計する
リニューアルで見落とされがちなのが、情報設計(IA:Information Architecture)です。どれだけきれいなデザインでも、訪問者が知りたい情報にたどり着けなければ意味がありません。
たとえば、製造業の企業サイトをリニューアルするケースでは、訪問者として取引先の購買担当者、求職者、既存の取引先など、複数の立場の人がいます。
ただし、すべてを同じ優先順位で扱うのではなく、サイトの主目的に合わせて中心となる対象を決める必要があります。その上で、採用情報や既存顧客向けの情報への入口を分けて設計します。
デザインの前に、「誰に、何を、どの順番で伝えるか」を整理する。これが成果につながるリニューアルの基本です。
ポイント3:現在のサイトが持つ資産を正しく引き継ぐ
リニューアルで特に注意が必要なのが、既存のサイトが持っている価値を失わないようにすることです。具体的には、以下のような資産が該当します。
- 検索エンジンで評価を得ているページ
- 既存のページURLと被リンク
- アクセスの多い記事やコンテンツ
- 資料ダウンロードや問い合わせの導線
- アクセス解析の計測設定
- 既存顧客がブックマークしているURL
URLやページ構造を大きく変更すると、検索エンジンが新しい構成を認識するまでに時間がかかる場合があります。旧ページと新ページの対応関係を明確にしないと、既存ページが持っていた検索評価や流入を十分に引き継げない可能性があります。
具体的には、以下の対応が考えられます。
- 旧ページから新ページへの301リダイレクトの設定
- 評価されているtitleタグやコンテンツを不用意に削除せず、新しいページ内容に合わせて見直す
- サイトマップの再作成と送信
- 表示速度(Core Web Vitals)の確認
- スマートフォンでの表示確認
対応を事前に済ませておくことで、リニューアル後のアクセス減少リスクを抑えられます。
ポイント4:公開後の運用体制を決める
「リニューアルしたら、その後は自然に成果が出る」——これもよくある誤解です。ホームページは、公開してからが本番です。
お知らせの更新、事例の追加、アクセス解析にもとづく改善など、継続的な運用が成果を安定させます。
CMS(WordPressなど)を導入すれば自社での更新が容易になりますが、CMSやプラグインの更新、バックアップ、セキュリティ対策を社内で行うのが難しい場合は、制作会社の保守管理サービスを利用する方法もあります。
リニューアルを検討する際には、公開後の運用体制についてもあわせて考えておくことをおすすめします。
ポイント5:成果を測る指標(KPI)を決める
リニューアル後に成果が出たかどうかを判断するには、公開前にKPIを決めておく必要があります。
たとえば、以下のような指標が考えられます。
- 問い合わせ件数
- 資料請求数
- 採用応募数
- サービスページの閲覧数
- 問い合わせフォームへの到達率
アクセス数だけが増えても、経営上の目的が達成できなければ成功とは言えません。目的に合わせた数字を定期的に確認し、改善を続けることが重要です。
まとめ:デザインは目的を達成するための手段のひとつ
ホームページのリニューアルにおいて、デザインは大切な要素です。しかし、それはあくまで目的を達成するための手段であって、リニューアル自体が目的になってはいけません。
リニューアルで本当に検討すべきなのは、
- リニューアルの目的を明確にする
- 訪問者の視点で情報を設計する
- 現在のサイトが持つ資産を正しく引き継ぐ
- 公開後の運用体制を決める
- 成果を測る指標(KPI)を決める
これらを押さえた上でデザインを刷新することが、成果につながるリニューアルの最低条件です。
次回は、「ホームページの目的を決める」についてお伝えします。この連載で最も重要な回のひとつです。
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