ホームページのデザインに求めるべきこと|見た目より大切な3つの視点
はじめに
前回の第6回では、情報設計(IA)とコンテンツ戦略についてお伝えしました。ペルソナの行動シナリオをもとにサイトマップを組み立て、導線を設計し、公開後のKPIまで決める——この一連のプロセスを経ることで、デザインに入る前に「何を・誰に・どう届けるか」が明確になります。
では、情報設計が終わったら、次はいよいよデザインです。しかしここで注意したいのは、「デザイン」と「見た目のきれいさ」を同列に考えてしまうことです。
今回は、ホームページのデザインにおいて本当に求めるべきこと——見た目以上に重要な3つの視点をお伝えします。
連載「ホームページリニューアルを考える前に読む全10回」 第7回
前回:第6回「ペルソナをホームページ設計に活かす方法|情報整理と導線設計の4ステップ」
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デザインに求めるべき3つの視点
私たちが制作現場で重視しているのは、以下の3つの視点です。
- 情報を正しく伝える——優先順位を視覚で表現できているか
- 迷わず行動できる——訪問者がストレスなく次のステップへ進めるか
- ブランドの信頼感を醸成する——企業としての品格が伝わるか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
視点1:情報を正しく伝える——優先順位の視覚化
デザインの第一の役割は、「何が大事か」を一目で伝えることです。
たとえば、トップページのファーストビュー。すべての情報を同じ大きさ・同じ色で並べると、訪問者はどこを見ればいいか分かりません。重要なメッセージほど大きく、行動を促すボタンほど目立つ——この「情報の優先順位を視覚で表現する」ことが、デザインの基本です。
具体例を挙げると、次のようなあたりが検討ポイントになります。
- 見出しと本文のコントラスト(読みやすさの基本)
- 視線誘導の順序(左上から右下へ、またはZ型・F型)
- 余白の使い方(情報を詰め込みすぎない)
- フォントの選択と統一(和文と欧文のバランス)
ここで重要なのは、「かっこいいデザイン」ではなく「伝わるデザイン」を基準にすることです。デザインコンペや制作会社の提案を見る際も、「このデザインは、情報設計で決めたメッセージを正しく伝えているか」という視点で評価すると、判断がぶれにくくなります。
視点2:迷わず行動できる——UIとユーザビリティ
次に重要なのは、訪問者がストレスなく目的の情報にたどり着き、行動に移せるかどうかです。これを一般に「ユーザビリティ(使いやすさ)」と呼びます。
デザインがきれいでも、以下のような状態では、訪問者は離脱してしまいます。
- メニューの位置や名称が分かりにくい
- ボタンが小さくて押しにくい(特にスマートフォン)
- リンクなのか単なるテキストなのか区別できない
- ページの読み込みが遅い
- フォームの入力項目が多く、完了までに時間がかかる
こうしたユーザビリティの問題は、デザインの段階で意識的に設計しないと、後からの修正でコストがかさみます。制作会社に依頼する際は、「スマートフォンでの操作性」「フォームの完了率」「ページの表示速度」について、どのような設計方針を持っているかを確認するとよいでしょう。
なお、ユーザビリティの向上とビジュアルデザインは、トレードオフになりがちな場合もあります。その場合、どちらを優先するかはサイトの目的次第ですが、多くのビジネスサイトではユーザビリティを優先する方が、結果的に問い合わせや採用応募の増加につながりやすいと考えられます。
第5回で設定したペルソナの立場で「このデザインなら迷わず行動できるか」を判断基準にすると、制作会社との認識ズレも防げます。
視点3:ブランドの信頼感を醸成する
3つ目の視点は、デザインによって企業としての信頼感を伝えることです。
ホームページは、多くの場合、初めて会社を知る訪問者との接点です。その第一印象を決めるのがデザインです。残念ながら、訪問者は数秒でサイトの印象を判断し、その後の滞在や行動を決めると言われています。このわずかな時間で信頼を獲得できるかは、デザインの質にかかっている部分が少なくありません。
信頼感を醸成するデザインのポイントとしては、以下のようなものが考えられます。
- 色彩設計の一貫性(企業カラーの適切な使用)
- 写真や画像の質(プロ撮影か、素材サイトの使い回しか)
- タイポグラフィ(フォントの統一と読みやすさ)
- 全ページで統一感のあるレイアウト
- 更新時期が明記された新しい情報
ただし、見た目だけを重視して中身が伴わないサイトは、訪問者にすぐに見透かされてしまいます。信頼感は、デザインの質と情報の質が一致したときに初めて成立するものです。デザインだけに予算をかけ、情報設計やコンテンツがおろそかになっていないか——リニューアルの予算配分を考える際にも、このバランスは意識しておきたいところです。
デザインの前に確認すべきこと
デザインの話に入る前に、もう一度確認しておきたいことがあります。それは、情報設計(第6回)とターゲット設定(第5回)が終わっているかどうかです。
情報設計が曖昧なままデザインに入ると、次のようなリスクが生じやすいと言われています。
- 「このデザイン、かっこいいけど情報が入りきらない」という手戻り
- 「訪問者にはどう見えるか」ではなく「作り手の好み」でデザインが決まる
- デザインの優先順位が不明確で、修正が無限に続く
- 公開後に「伝えたいことが伝わっていない」と気づく
逆に言えば、第4回から第6回までの内容(目的→ターゲット→情報設計)が固まっていれば、デザインの方向性は自然と定まります。「かっこいいかどうか」ではなく、「このペルソナに、この情報を、この順番で伝えるために、どんな見せ方が適切か」という判断基準でデザインを選べるからです。
リニューアルのスケジュールを組む際は、情報設計の後に十分なデザイン期間を確保することをおすすめします。
よくある質問
Q1. リニューアル前に参考サイトを集めるべきですか?
参考サイトを集めること自体は悪くありませんが、注意も必要です。他社のデザインをそのまま真似ても、自社の目的やターゲットに合わない場合があります。参考サイトは「色使い」「レイアウト」「情報の見せ方」などのヒントとして活用し、最終的な判断は「自社のペルソナにとって適切か」で行うことをおすすめします。
Q2. デザインの予算はどの程度かけるべきですか?
一概には言えませんが、一般的な企業サイトのリニューアルでは、情報設計+デザインに全体予算の40〜60%程度を配分するケースが多いようです。デザインだけに偏らず、情報設計やコンテンツ制作にもバランスよく配分することが、成果につながりやすいと考えられます。
Q3. 自分たちでデザインの良し悪しを判断する自信がありません
制作会社に依頼する場合、判断基準を「好み」ではなく「目的に合っているか」にすることで、評価がしやすくなります。第4回から第6回で整理した「目的・ターゲット・情報設計」を制作会社と共有し、そのうえで提案されたデザインが適切かを判断する——このプロセスを踏めば、デザインの評価に自信がなくても迷いにくくなります。
まとめ:デザインは「見た目」ではなく「伝わるかどうか」が基準
ホームページのデザインに過度に期待したり、逆に軽視したりするのは、どちらもリニューアルの失敗につながりかねません。
デザインは、情報設計で決めた内容を訪問者に伝え、行動を促すための手段です。見た目の美しさだけで判断せず、以下の3つの視点で評価してみてください。
- 情報を正しく伝えているか
- 迷わず行動できるか
- ブランドの信頼感を醸成できているか
次回は、「Web制作会社の選び方」についてお伝えします。デザインの判断基準が分かったところで、次は実際に制作を依頼する相手をどう選ぶか——というステップに進みます。
関連事例
デザインの方向性を目的とターゲットから設計し直した事例をご紹介します。
- 株式会社丸勘山形青果市場様 企業サイト——企業の信頼感と事業の「今」を伝えるデザインへ刷新。情報設計をベースに、ビジュアルとユーザビリティのバランスを調整しました。
- 東日本エンジニアリング株式会社様——建設業の技術力と企業理念をデザインで表現。取引先の購買担当者が持つ不安を軽減するビジュアル設計を意識しました。
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