「なんとなく」を言葉にできているだろうか
私は入社前、言語化することが苦手だった。自分の気持ちさえも、なぜそう思ったのかをうまく説明できなかった。今でも言語化が得意だとは思わないけれど、仕事を進めるなかで「なぜ」を繰り返すようになった結果、できるだけ言語化しようと意識するようになった。
参考サイトを見るとき、「このサイトがいい」と思ったら、なぜいいのかを自分の言葉で説明しようとするようにしている。フォントの種類、フォントサイズ、色、余白の取り方、写真のトーン、モチーフなど。デザインの要素を細分化していくと、漠然とした「いい」の正体が少しずつ見えてくる。これを繰り返すうちに、参考サイトのどこが、なぜ良いのかを少しずつ説明できるようになってきたと思う。
この力が一番効くと感じるのは、デザイナーへのフィードバックの場面だ。
デザインの確認をするとき、「イメージ通り!」「なんか違うかも」「この部分に少し違和感がある」そんな感想はすぐ出てくる。ただ、思ったままの感想をそのまま伝えても、デザイナーは困るだけだ。「なぜそう感じるのか」を言葉にできてはじめて、的確なフィードバックになる。
例えば「全体的に重い印象を受ける」と感じたとき、その理由を分解すると「背景色が濃い」「フォントが太すぎる」「余白が少ない」といった要素に行き着くことがある。そこまで言語化できると、デザイナーも修正の方向性を具体的にイメージできるし、認識のズレも生まれにくいと思う。
同じことはクライアントへの提案にも言える。「こういうサイトにしたい」という要望をヒアリングするとき、クライアント自身も言葉にできていないことが多い。そこで参考サイトを見ながら「このサイトのここが好きですか?」と要素を分解して確認していくと、お互いの認識がそろいやすくなる。
「なんとなくいい」「なんか違う」そう感じた感覚を言葉にする一手間が、制作物のクオリティを大きく変えると思う。「なぜ?」を問い続ける習慣から、言語化力は高まるものなのかもしれない。