ホームページのターゲット設定方法|ペルソナを作る3ステップ
はじめに
前回の第4回では、ホームページの目的を明確にすることの重要性についてお伝えしました。「集客」「採用」「ブランディング」「情報提供」という4つの目的のうち、自社サイトがどの役割を優先すべきかを考えるきっかけになったのではないでしょうか。
では、目的が決まったら、次に何をすべきでしょうか。
それは「誰に届けるのか」を決めることです。目的が「何を実現するか」だとすれば、ターゲットは「誰のために実現するか」を決めるものです。どれだけ立派なホームページを作っても、誰に向けたものかが曖昧では、訪問者に響くメッセージを届けられません。
今回は、ホームページのターゲットとペルソナの違いから、具体的な設定方法、そしてサイト設計への反映の仕方までを解説します。
連載「ホームページリニューアルを考える前に読む全10回」 第5回
前回:第4回「ホームページの目的をどう決める?企業サイトで最初に考えるべきこと」
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結論:「誰にでも」向けたサイトは、誰にも選ばれにくい
まず結論からお伝えします。ターゲットが明確でないホームページは、「誰にでも届くように」という親切心のつもりが、「誰にも届かない」という結果になりがちです。
情報が多すぎる現代において、訪問者は自分の課題にぴったり合ったサイトを瞬時に選びます。「これまで1,000サイト以上を手がけてきた制作会社」というメッセージも、見る人が製造業の経営者か、飲食店のオーナーか、それとも採用サイトを見ている求職者かで、響き方がまったく異なります。
つまり、目的が決まった次のステップは、「その目的を達成するために、誰に、どう伝えるか」を具体化することです。ここを丁寧に行うだけで、サイトの構成やコンテンツの方向性が明確になり、制作のスピードと精度が大きく変わります。
まずは「ターゲット」と「ペルソナ」の違いを理解する
ターゲットとペルソナは、よく混同されますが、明確な違いがあります。
| 項目 | ターゲット | ペルソナ |
|---|---|---|
| 定義 | 顧客の属性グループ | 理想的な一人の顧客像 |
| 粒度 | 粗い(年齢・性別・職業など) | 細かい(価値観・行動パターン・悩みなど) |
| 例 | 「山形県内の製造業・40代経営者」 | 「山形市で金属加工会社を営む44歳の社長。後継者問題に悩み、Webを活用した新規取引先の開拓を模索している」 |
| 役割 | 大まかな方向性を決める | 具体的な判断基準を提供する |
ターゲットはマーケティングの出発点として重要ですが、実際のサイト制作において「このコピーで伝わるか」「このCTAでクリックしてくれるか」を判断するには、もう一段深い解像度が必要です。その答えがペルソナです。
「誰でも歓迎」の落とし穴
「うちのサービスは老若男女どなたでもご利用いただけます」「業種を問わず、すべての企業様に」——こうしたメッセージは、一見すると親切に聞こえます。しかし実際には、誰の具体的な悩みにも届かない表現になりがちです。
なぜでしょうか。それは、人は、自分の状況や悩みに関係がある情報ほど、強く関心を持つからです。取引先の開拓に悩む製造業の社長が見たいのは、「金属加工 新規取引先 開拓 方法」という具体的な情報であり、「あらゆる企業の課題を解決します」という抽象的なメッセージではありません。
特に山形県をはじめとする南東北では、人口減少や企業数の減少により、市場そのものが縮小しています。これまでのように「地域の企業すべて」を対象にするだけでは、十分な見込み顧客を確保しにくくなっています。だからこそ、山形・宮城・福島という広域商圏を持ちながら、業種や課題、企業規模を具体的に絞り込むことが重要です。
もちろん、ビジネスを広げるにつれてターゲットが複数になることは自然なことです。大切なのは、「まず誰に一番来てほしいか」という優先順位を決めることです。最初からすべてのターゲットを同じ重要度で扱おうとすると、メッセージは散漫になり、結果的に誰にも届きません。
ペルソナを設計する3つのステップ
それでは、実際にペルソナを設計する手順をご紹介します。以下の3ステップで、サイト設計の判断に使える基本的なペルソナを作ることができます。
ステップ1:既存の優良顧客から「モデル」を選ぶ
ペルソナは、想像だけで作るものではありません。最も確実な方法は、すでに取引があって関係が良好な顧客をモデルにすることです。
以下の観点で3〜5社をピックアップしてみてください。
- リピート率が高い、長期にわたって取引が続いている
- 紹介や口コミを積極的にしてくれている
- 自社のサービスを正しく評価してくれている
- 話が通じやすく、一緒に仕事をしていて手応えがある
加えて、経営上の適合性という観点も重要です。「良い顧客」と「今後増やすべき顧客」は必ずしも一致しません。以下の要素もあわせて確認しましょう。
- 適正な利益を確保できているか
- 自社の強みが成果につながっているか
- 今後も需要の拡大が見込めるか
- 同様の顧客へ横展開しやすいか
- 自社が今後伸ばしたい事業と一致しているか
人間関係が良好なだけでなく、自社の成長につながる顧客をモデルに選ぶことで、ペルソナの精度は大きく向上します。
ステップ2:属性・悩み・行動パターンを整理する
共通点が見えたら、次はそれをより具体的な情報で肉付けしていきます。整理すべき情報は、大きく3つに分かれます。
① デモグラフィック情報(人口統計的属性)
- 業種・職種・会社規模
- 年齢・性別・役職
- 所在地・営業エリア
② サイコグラフィック情報(心理的特性)
- 仕事における価値観(効率重視か、品質重視か)
- 日々の悩みやストレス要因
- 意思決定の基準(価格・実績・担当者の人柄など)
③ 行動パターン
- 情報収集の方法(Google検索・知人の紹介・業界誌など)
- 検索するときに使いそうなキーワード
- 問い合わせをためらう理由
この3つの情報を整理すると、単なる属性情報ではなく、「この人がどんな状況で、何に困っていて、どうやって解決先を探しているのか」が見えてきます。
ステップ3:ペルソナシートにまとめる
整理した情報を、一枚のシートにまとめます。ここで重要なのは、一人の実在する人物をイメージできる具体性です。
ペルソナシートの記入例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前(仮名) | 佐藤 健一さん |
| 基本情報 | 48歳/南東北で金属加工会社を営む二代目社長/従業員20名 |
| 仕事の悩み | 大口取引先の売上減少。既存取引先への依存に不安を感じ、Webを活用した新規取引先の開拓を模索している。ただし、これまでホームページを作っても問い合わせに結びついた実感がない。 |
| 情報収集の方法 | スマートフォンでGoogle検索が中心。「山形 金属加工 新規取引先」「製造業 Web集客」などで検索。同業者の評判も気にする。 |
| 求めること | 自社の加工技術を正しく理解してくれる取引先との出会い。価格競争ではなく、技術力を評価してもらいたい。 |
| 問い合わせの壁 | 「問い合わせたらしつこく営業されるのでは」「料金が高いのでは」という不安。実績や事例が具体的に見えると安心する。 |
このように、名前をつけて一人の人物として描くだけで、チーム内で「佐藤さんの立場なら、このコピーは響くかな?」と具体的に議論できるようになります。これがペルソナ設計の最大の効果です。
なお、今回は金属加工会社の社長を例にしましたが、宮城県や福島県の企業でも考え方は同じです。自社の商圏や業種に合わせて読み替えてみてください。
ただし、ペルソナは細かく作ること自体が目的ではありません。実際の顧客への聞き取り、問い合わせ内容、アクセス解析などと照らし合わせ、継続的に修正していくことが重要です。根拠のない家族構成や趣味まで作り込んでも、サイト設計の判断に使えなければ意味がありません。ペルソナはあくまで「仮説」であり、運用しながら検証し、磨いていくものだという認識を持ちましょう。
また、ホームページ設計では、年齢や性別だけでなく、「どのような課題が発生したときに」「何を検索し」「何を不安に感じ」「何があれば行動できるか」を明確にすることのほうが、はるかに重要です。ペルソナは属性情報ではなく、行動と心理を理解するためのツールと捉えてください。
ペルソナをサイト設計にどう活かすか
せっかくペルソナを作っても、活用しなければ意味がありません。ここからは、ペルソナを「WEB制作会社を探している製造業の社長」と想定して、サイト設計にどう反映するかを具体的に見ていきましょう。
1. トップページのファーストビュー
ペルソナがサイトを訪れたとき、最初の画面で「このサイトは自分の課題を解決してくれる」と感じられるかどうかが重要です。「製造業の技術力を、問い合わせにつなげるホームページ制作。山形の企業を理解した設計から、公開後の改善まで支援します。」——このように、ペルソナの立場で読んで「自社のことだ」と感じられるかを判断基準にしましょう。
2. CTA(問い合わせボタン)の文言
「お問い合わせ」という汎用的なボタンよりも、ペルソナの心理に合わせた具体的な文言のほうが効果的です。「製造業のホームページ事例を見る」「現在のサイトの課題を相談する」「無料簡易診断を申し込む」など、ペルソナが「これなら気軽に問い合わせられる」と思える言葉を選びましょう。
3. ブログやコラムのテーマ選定
ペルソナが検索するキーワードをもとにブログ記事を企画します。「金属加工 新規取引 開拓 方法」「製造業 Web集客 成功事例」など、ペルソナが実際に悩んで検索する言葉でコンテンツを作れば、SEO効果も高まり、訪問者の回遊率も上がります。
よくある質問
Q1. ペルソナは一人に絞るべきですか?
基本は、最も重要なペルソナを一人に絞ることから始めましょう。最初から複数設定すると、メッセージが分散します。まずは一人に徹底的に刺さるサイトを作り、その後サブのペルソナへ広げていくのが現実的です。
ただし、BtoBサイトでは経営者、実務担当者、採用担当者、情報システム担当者など、複数の関係者が意思決定に関わる場合があります。その場合も、全員を同列に扱うのではなく、主となるペルソナを決めたうえで、補助的なペルソナを設定するのが効果的です。
Q2. まだ顧客データが少ない場合はどうすれば?
創業間もない場合などは、競合サイトのレビュー・口コミを分析したり、業界統計データを活用したりして仮説ペルソナを作ることから始めましょう。完璧でなくても、「仮説」としてスタートし、公開後のアクセス解析や問い合わせ内容をもとに修正していけば大丈夫です。
Q3. ペルソナは一度作ったら終わりですか?
いいえ。ペルソナは「仮説」であり、市場の変化や自社のサービス拡大に合わせて定期的に見直すことが大切です。少なくとも年に一度は、実際の顧客データと照らし合わせて調整することをおすすめします。
まとめ:目的が決まったら、次は「誰に届けるか」を決める
ターゲットやペルソナと聞くと、難しく感じるかもしれません。しかし、実際の手順はシンプルです。「既存の良いお客様をモデルに、その人の情報を整理し、一枚のシートにまとめる」——これだけです。
このプロセスを踏むことで、ホームページの設計は「作り手の目線」から「見る人の目線」へと確実にシフトします。目的と同じように、ターゲットの明確化は、リニューアルを成功させるための土台です。
次回は、「ターゲットに合わせた情報設計とコンテンツ戦略」についてお伝えします。ペルソナを決めたら、次はその人に何を、どう伝えるかを設計する段階です。お楽しみに。
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